消化器内科
嘔吐や下痢は、動物病院で最も多く遭遇する症状の一つです。食あたりやストレスなど一過性の場合もあれば、その裏には命に関わる緊急性の高い病気や、長く付き合っていく必要のある慢性的な病気が隠れていることも少なくありません。当院の消化器科では、安易な対症療法に頼るのではなく、詳細な問診と適切な検査を通じて「なぜ症状が出ているのか」という根本原因を追求することを重視しています。そして、診断結果に基づき、食事療法から内科治療、内視鏡を用いた精密検査・治療まで、その子にとって最善の選択肢をご家族と一緒に考えていきます。原因がわからず治療が難航している、といった場合のセカンドオピニオンも積極的に受け付けております。どうぞご相談ください。
こんな症状ありませんか?暮らしの中の小さな変化が病気のサイン
一見よくある症状でも、回数や様子によっては注意が必要です。日頃からよく観察してあげてください。
▼嘔吐・吐き気
- 1日に何度も吐いている、または数日間嘔吐が続いている
- 吐いたものに血が混じっている(茶色〜赤色)
- 吐いたものが黄色や緑色(胆汁)
- 食べていないのに、泡や胃液ばかり吐く
- 吐こうとするが何も出ない
▼下痢・便の異常
- 水のような下痢をしている
- 便に血が混じっている(鮮血)、または便全体が黒いタール状
- 便秘で、いきんでも便が出ない、または少量しか出ない
▼その他のサイン
- 食欲がない、ぐったりしている
- お腹を触られるのを嫌がる、お腹が張っている
- 体重が減ってきた
- 白目や皮膚が黄色っぽく見える(黄疸)
特にご注意いただきたい症状
特に、以下の症状が見られる場合は、様子を見ずにすぐにご連絡ください。
- ✓ 繰り返し吐き続けている
- ✓ ぐったりして動かない
- ✓ お腹を痛がり、触ると嫌がる・鳴く
- ✓ 大型犬で、吐こうとしても吐けずにお腹が張ってきた(胃拡張・胃捻転の可能性)
当院で診療する主な疾患
犬と猫、またその品種によってもかかりやすい病気は異なります。当院では幅広い腫瘍疾患の診断・治療に対応しています。
胃・腸そのものの病気
急性胃腸炎、異物の誤飲、寄生虫感染などの急性のトラブルから、炎症性腸疾患(IBD)、食物アレルギー、消化管内腫瘍といった慢性的な病気まで様々です。
膵臓・肝臓・胆嚢の病気
膵炎、肝炎、胆嚢炎、胆管閉塞など、消化を助ける臓器の病気も嘔吐や下痢の一般的な原因となります。猫の肝リピドーシスなども含まれます。
消化器以外が原因となる病気
腎臓病、甲状腺や副腎のホルモンの病気、糖尿病などが、巡り巡って消化器症状を引き起こすことも少なくありません。
最善の治療のために診断までのステップ例
的確な治療を行うため、動物への負担を考慮しながら、段階を踏んで検査を進めます。
基本的な診察と検査(初期評価)
問診・身体検査: いつから、どんな症状が、どんなものを食べたかなどを詳しくお伺いし、脱水の有無やお腹の張り、痛みの場所などを確認します。
便検査: 寄生虫(回虫・ジアルジアなど)や消化不良、出血の有無、悪玉菌の増殖などを調べます。
血液検査: 炎症の程度、貧血の有無、そして肝臓・腎臓・膵臓といった内臓の機能やホルモンの値などを評価し、全身状態を把握します。
膵特異的リパーゼ測定: 血液検査で、膵炎の可能性をより正確に評価します。
画像による精密検査(お腹の中を詳しく見る)
レントゲン検査: 異物の誤飲や腸閉塞、ガスの溜まり具合、お腹の中の臓器の大きさや形を評価します。
腹部超音波(エコー)検査: 消化器診療において非常に重要な検査です。 胃腸の壁の構造や動き、膵臓・肝臓・胆嚢・リンパ節などの内部構造をリアルタイムで詳細に観察します。
原因を特定するための特殊検査・確定診断
内視鏡検査: 口や肛門からカメラを挿入し、食道・胃・腸の粘膜を直接観察します。異物の摘出や、組織の一部を採取(生検)してIBDや腫瘍の確定診断を行うために不可欠な検査です。
当院で実施しているその他の検査
一緒に考える治療方針
診断結果と、動物の状態、ご家族の希望を総合的に考慮し、以下の治療法を組み合わせて最善のプランをご提案します。
